高枝切りバサミ



高枝切りバサミ



ー冒頭文ー

寒い夜だった。電気はとうに止められていた。
水道もいつ止められてもおかしくない。
私たち姉妹は身を寄せ合って眠っていた。
冷気を寄せ付けまいと毛布を体に巻きつけても、震えが止まらない。
もう幾日ものを食べていないかわからない。



『 高枝切りバサミ 』
作:武内紀子 朗読:北村青子 8分44秒