狩り




狩り


― 冒頭文 ―

林の中を人々はさまよっている。林は誘惑する。林は様々な宝物を隠し持っている。お菓子、ジャム、瓶詰めのピクルス、お茶、乾麺、香辛料・・・人々は自分の欲しいものを捜し求めて林の中を歩き続ける。たとへばコンビーフ、このステキなフォルム、なんて特別な形だろう。早くぜんまいのようなカギでくるくる巻き取って缶を開けたい。


『 狩り 』
作:武内紀子 朗読:北村青子 4分11秒



音楽:歌劇《椿姫》より 「乾杯の歌」






福笑い




福笑い



― 冒頭文 ―

朝、夫が食卓につく。今日もこれと言って用事はない。子どもたちはとっくに独立し、二人だけの日々。見るともなく夫の顔を見る。以前もさほどかんばしい顔ではなかったが、近年著しく輪郭がゆるんできた。よく見なければどこまでが夫の顔なのかわからない。



『 福笑い 』
作:武内紀子 朗読:北村青子 8分54秒



音楽:組曲『くるみ割り人形』より「葦笛の踊り」